人を感動させる歌い方・歌の表現力が身につく、“気持ちの作り方”

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こんにちは、ヴォーカリストのabbie k(アビー・ケイ)です。

歌を真剣に学んでいる人や、歌うことが大好きな人なら誰でも、自分の歌で人を感動させられたらいいなと思いますよね。

以前私も、歌のレッスンで「自分の殻の中で歌うのではなく、聞いてくれる人に向かって歌いなさい」と言われる事があったので、

どうしたら人の心に響く歌が歌えるのかを悩んでいました。

そして日々試行錯誤する中で、これからご紹介する4つのステップが大切であると学びました。

これらを丁寧に積み重ねていくことで、今では歌を聴いてくれた方から、「心に伝わるものがある歌でした」とか「歌の世界に引き込まれました」と言ってもらえるようになりました。

そこで今回は、「人を感動させる歌い方・歌の表現力が身につく、“気持ちの作り方”」をご紹介したいと思います。

習得に時間のかかる発声や歌唱法のテクニックももちろん大切ですが、今回ご紹介する方法は即効性があるので、短時間であなたの歌が変化しますよ!

その曲のメッセージを理解する

人を感動させる歌を歌うためには、聴く人の心にその歌を届けなければいけません。

では聴く人の心に歌を届けるためには、どうすればよいでしょう。

それは、その曲の持つ歌詞の意味や世界観を丁寧に伝えることです。

分かりやすく言うと、絵本や小説を人に読み聞かせるようなイメージです。

人にお話を伝えるためには、実際にその登場人物の気持ちになって丁寧に読み聞かせることが大切ですよね。ちょうど歌うこともそれと似ています。

そして、お話を読み聞かせる時に、そのお話についての背景や、何を伝えようとしているのかを理解していなければ、相手の心にお話しが届くはずはありません。

あなたは、今歌おうとしている曲のメッセージを理解していますか?

もし洋楽なのであれば、歌詞の意味は調べましたか?

その曲を書いたアーティストはどんなことを伝えようとしているのでしょうか?

私たちと同じ現代に生きているアーティストの曲ならば、そのメッセージはまだ理解しやすいですが、昔の曲だった場合はその時代背景を調べてみることも大切です。

曲のメッセージと似ている感情を思い出す

さて、曲についてよく調べ、どんなメッセージを持った曲か理解したら、次はどうすればよいでしょう。

それは自分の今までの経験の引き出しを総動員して、曲の持つ感情と似たような気持ちを引っ張り出してくることです。

例えば、誰かに恋人を取られてしまったという曲の場合、自分に似たような経験がないか、まずは思い出しましょう。

もしラッキーにも(笑)そのような経験があったとしたら、その時の気持ちを思い出して歌えば、聴く人に強いメッセージとして届くことになり、結果的に相手の心を動かすことができます。

そうです、今までたくさん辛い経験をしてきたというあなた!歌ではその経験がとても活かされます!私も今ではそんな経験をさせてくれた人に感謝しているくらいです (笑)!

同じような経験がなかったとしても、失恋の経験なら多くの人があると思うので、その辛い、寂しい記憶を思い出すだけでも効果はあります。

もし、似たような経験がまったく見当たらない場合はどうしましょうか?

そんな時は、自分がそういう状態になったらどんな気持ちになるか可能な限り想像してみましょう。

また、次の方法もその助けになります。

歌詞の内容と似たストーリーの映画を探して観る、小説や漫画を読む。

その曲が何かのドラマや映画の主題歌などになっていれば、その作品も絶対観たほうがいいですね。

映像で見るとよりイメージが立体的になりますし、活字で読むことも意外に想像力を駆使するので、イメージが自分のものになりやすいです。

では、何をしてもその気持ちになれない場合は?

それでも大丈夫。あなたがその歌を歌いたいと思って選んだのには、何か理由があるはずです。

言ってみれば、心の底であなたにはその歌が必要だったという事です。

どうして自分がその歌に惹かれたのか、じっくり考えてみましょう。何か、ヒントが眠っている可能性がありますよ。

聴く人に、曲のメッセージを自分の感情を乗せて語りかける

曲のメッセージを理解し、それに似た気持ちを思い起こすことができたら、その気持ちを聴く人に自分の言葉として語りかけるように歌いましょう。

自分の感情を乗せて歌う事ができれば、他の人が作った曲でも、自分のメッセージとして発することができます。

そして更に、そのメッセージを聴く人に歩み寄って伝えに行くイメージを持ってください。

例えば誰かに恋人を取られてしまった曲の場合、ただ、「誰かに恋人を取られて自分は寂しい…」と独り言のように歌うのでは聴く人に伝わりません。

その気持ちを、相手に共感してもらわなければ、感動はしてもらえません。

「自分は恋人を取られて、こんなに辛いんです、毎日こんな寂しい日々を過ごしているんです…皆さん分かってくれますか?」

と言うように、聴く人の側で自分の気持ちを語りかけるイメージです。

または、会場にその恋人がいると想定して、その恋人に向かって歌うのもいいでしょう。

よく「歌に感情を込める」と言いますが、込めた感情を自分の中にため込んだまま歌っても、残念ながら自己満足の歌になってしまいます。

必ずその気持ちの流れを、聴く人に向けることが大切です。

一度歌手の美輪明宏さんの舞台を見に行ったことがあるのですが、舞台からかなり離れた席だったにも関わらず、美輪さんが私のすぐ目の前に来て、私の為に歌ってくれているような、そんな錯覚に陥りました。

聴く人をそんな気持ちにすることができれば、相手は感動しないはずがないですよね。

これもきっと、美輪さんが観客一人ひとりの気持ちに近づいて、寄り添うようなつもりで曲の世界を伝えているからではないかと思います。

本番は歌の世界のことだけ考える

そして最後にとても大切なこと。それは、人前で歌う時、音程やリズム、発声などあらゆる技術的なテクニックが気になるでしょうが、それは忘れて歌の世界に没頭することです。

その為には、練習の段階でそれらの技術が最低限身についていて、考えずとも体が覚えている状態になっていなければいけません。

また、本番で歌っている最中もテクニックのことしか考えていないような、言ってみれば計算されたような歌は、技術的に上手なのかもしれませんが、なぜか聴いていても心に響かない場合があります。

もちろんテクニックの上手さで相手を感動させることもできるでしょう。

しかし心の奥深くまで響く歌、それはやはり感情がダイレクトに伝わってくる歌だと私は信じています。

そしてあなたの感情を乗せることが、他の誰でもなく、あなたがその歌を歌う意義そのものです。

番外編:特にメッセージがない曲はどう歌う?

曲によっては特にメッセージはなく、ファンタジーや空想の世界を描いたものもありますよね。

少し極端な例かもしれませんが、私は以前マイケル・ジャクソンのスリラーをカバーしたことがありました。(しかもフリ付きで!)

今考えると、よくそんなことをする勇気があったなと思います(笑)

ご存じの方も多いと思いますが、あの曲はいわゆるメッセージ性のある曲ではありません。

歌詞の内容は以下のような感じです…

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もうすぐ真夜中、邪悪な何かが暗闇に潜んでいる
月明かりの下、君は心臓が止まるような光景を見る 
君は叫ぼうとするけど恐怖のあまり声が出ない
恐ろしい魔物にじっと見つめられ、君は凍りつくように
麻痺させられる

なぜなら今夜はスリラー・ナイト
誰一人として獣に襲われる君を守ってはくれないよ
分かるだろう今夜はスリラー・ナイト
今夜君は、殺人鬼があちらこちらいる恐怖の中で、生き延びるために闘うのさ

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当時の私は、この曲のいったいどこに感情移入すればよいのか悩みました。

深読みしてみても、特に隠された意味がある歌詞でもありません。

そうです、これは非現実的な空想の世界を楽しむ曲なんです。

そこで私は、テーマパークでやっているようなショーをイメージしてみました。

”スリラー”というアトラクションがあったとして、そこに自分が出演して、

お客様をめいいっぱい怖がらせて、楽しませるにはどんな歌い方をするか?

そうイメージすると、おのずと、どう歌えばいいかが見えてきました。

ホラー映画のような少しおおげさな表情で、お客さんを冷やかす感じかな…とか、

怖がらせると同時に、セクシーなかっこ良さもなければいけないな…など。

こういったファンタジーや空想の世界を描いた曲は、まずその世界観をよく感じ取り、あとは思いっきり、なりきったお芝居でその世界観を作り出すしかありません!

腹をくくって、歌の主人公を演じきりましょう!

 

まとめ

このように、人を感動させる歌を歌うためには、「その曲のメッセージを理解する」「曲のメッセージと似ている感情を思い出す」「聴く人に、曲のメッセージを自分の感情を乗せて語りかける」「本番は歌の世界のことだけ考える」の4つのステップが必要になります。

この記事で紹介した手順で歌の世界を表現すれば、細かいテクニックを考えずとも、結果的に歌の表現力がアップして、聴いてくれた人から「感動しました!」と言ってもらえるのも決して難しいことではありません。

これらのポイントをすべて実行するのは少しハードルが高いと思う方でも、できそうなことがあれば、少しずつやってみてくださいね。

最後までお読みくださり、ありがとうございました!

あなたの歌がさらに素敵なものになりますように!

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